カワイのグランドピアノの整備、今日は弦合わせ〜ダンパー設置〜ピッチ上げ〜巻口仕上げの順で進めました。
全弦張替えで特に気をつけるのがアクションと弦の接続です。接続という呼び名は私独自のものです。ピアノの本体に取り付けられている弦と、全く別の工程で作られた鍵盤とアクション。演奏者の手の動きを伝えるアクションの動きが弦を伝い駒、響板を通じて音になるまでの一連の流れをより正確に効率よくするのは我々調律師の仕事です。もう少し詳しくいうと、ハンマーが正しい角度、均等な幅で並び、真っ直ぐ上がったところに、均等に並んだ弦があってその芯を捉える、という理想に極力近づけるための作業です。これがなかなか難しい。駒ピンやアグラフの間隔が均等でないこともあったりして、一筋縄にいかないこともあります。
ハンマーの角度、ハシリ、間隔を整えることで幾分良くなりました。
ダンパー設置前に一個ずつウッドとワイヤーを研磨しました。ふと思い立ってチューニングハンマーの真鍮部分を研磨しました。
ダンパー設置後はまずピッチを上げます。これは調律より張力をある程度目的の強さに持っていくためです。張力が整ったところで巻口を打ち下ろして仕上げます。
何回か調律してから全体の調整をしていきます。タッチは大きな抵抗はなく十分弾きやすくなることが期待できます。合間をぬっての作業のため、つきっきりでできないのがもどかしくもありますが、確実に進めていきます。