コンサートの調律のお仕事をいただき、行ってまいりました。お世話になっている先生が参加する公演でもあったため、本番までの立ち合いのお仕事ではありませんでしたが、コンサートを拝聴してまいりました。もう一つの理由としては、プログラム中1曲目の「かぎやで風」が好きだから(^^)。アレンジなども加わるとのことで楽しみにしておりました。
始まってみるとびっくり。こんなにクリエイティブな企画だったとは思わず、当初前半だけ聴いて帰るつもりが、最後まで楽しませていただきました。
あまり音楽について評価できる立場ではありませんが、とてもよくまとまったアレンジの安定感がとても気持ちよかったです。編成に対して良い意味で裏切ってもらえました。チャイコフスキーのくるみ割り人形の「花のワルツ」をピアノ連弾、フルート、チェロ、チューバという、全く聞いたことのない編成での演奏はちょっとそわそわするものもありましたが、いやいや、聞いてみるとこんなにまとまるものかと驚いたくらい!チューバの演奏者さんは、実は1か月前くらいにリサイタルでの調律のお仕事をいただいていたのですが、このときは本番は立ち合うことができず。しかしこんなにきれいに歌う楽器だと知っていたら聴きたかった!ベースラインをボン、ボン、となぞる縁の下の力持ちかと思っていましたがとんでもない!おみそれしました。一応、弦、木管、金管とオーケストラに集う楽器があったわけですが、バランスも見事ですし世界観も広がって、とても楽しい演奏でした。
そして、後半は琉球芸能とクラシック音楽の融合、バレエと琉球舞踊のコラボレーションも交え、新しい沖縄の音楽を提案しているような内容だったと思います。ピアノを販売する立場としては、音楽(ソフト)の充実があってこその楽器(ハード)の普及と考えています。「弾きたい」というマインドは、楽器のクオリティよりも音楽が振りまく夢です。クラシック音楽は偉大な芸術ですが、過去にあったものを踏襲するよりは、その情報の蓄積から生まれる自分の「声」がメロディー・ハーモニー・リズムとなって発信されてこそ未来に向けた音楽になると思っています。感動とは言葉を変えれば「意外性を好意的に受け止めること」で、予想しなかったハプニングが心地良いときにおこるもの。お笑い芸人が笑わせるボケ・ツッコミも似たところがあるのではないでしょうか。クラシック音楽が美しい芸術であると同時に、実は予習できるので、コンサートで起こることをある程度予測できます。対して、創作された音楽であれば「何が起こるのだろう」というわくわく感を持って臨めるコンサートです。今回のコンサートは、若いアーティストたちのチャレンジが前面に打ち出されていて、素晴らしい意味で裏切られ、とても意義の深い公演で収穫となりました。こういったLocal Motionが、より多くのピアノファンの「弾きたい」を引き出すきっかけになってくれるよう、これからも継続して磨きをかけていってもらえたらうれしいです。
なんて、おじさんの上から目線な感想文になってしまいましたが、とても楽しいひと時を過ごさせていただきました。ありがとうございました。