沖縄県では湿度が高いため、除湿剤では追いつかないのが実際のところと捉え、特に除湿剤の販売は行っておりません。お客様がご自身でできる最良のお手入れは、
ピアノを弾くことです。
一日わずかでもいいから、音を出してあげることです。そうすることで鍵盤やアクションパーツは摩擦を起こし、響板やボディ全体が振動します。これを科学的に説明することはできませんが、例えるなら人は運動しないと体がなまっていくように、ピアノも固まっていってしまうのです。
これはなかなか説得力があるようで、私が調律したピアノの後日談を聞くと、奥様が日々音を出して楽しんでいる、ドレミファソラシドだけ弾いて喜んでいる、というお話しを聞きます。嬉しい限りです。
練習して上達するのを目指すだけ全てではない、「ああ、今日もピアノを触れてよかった」という心のよりどころであってくれることがピアノ屋さんにとっての最高の成果です。
さて本日のお客様ですが、一枚目の写真のように除湿剤の水分が漏れてしまったことで思わぬトラブルが。普通湿度のトラブルが発生するとしたら、使用頻度の少ない最高音部または最低音部から始まるのに、このピアノはど真ん中から。下を開けてみたら古い除湿剤の中に溜まっていた液体が犯人だったことがわかり即除去です。しかしただの水ではないのですぐには乾かないんです。今日のところはできるだけ拭き取って、スティックしたアクションはセンターピンクリーナーで潤滑しました。
お母様と上のお姉ちゃんが楽しんでいるのに、おかしいと思ったらそういうことで、まあ部品交換などの大事にはいたらなくてよかったです。
もう一組お伺いしたお客様は、もう長いことご利用いただいている、およそ100年前のアメリカ製グランドピアノ。コンパクトですが、厚みがあって伸びる音が聞いていて楽しかったです。