wpid-20150909080829.jpg石垣島へのピアノ調律出張、終わってきました。今回もヤエヤマピアノファンの皆様にエネルギーをいただきつつ、ピアノの調律・修理をしてきました。

さて、戻ってからすぐに通常業務再開。グランドピアノは弦を外して塗料を入手。もっと分解してから吹き付けです。

昨日と今日は基地の中のお宅へピアノの調律へ。二日間で二組のお客様に会って、それぞれ海を渡ったピアノに出会いちょっと考えさせられました。
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一組目は最近もらったピアノを調律してほしいというお客様。玄関を開けてピアノとご対面した瞬間に「うわっ」と思ってしまいましたが、そのピアノとは50年以上は昔のアメリカ製アップライトピアノ。当時は付加価値をつけるために「アップライトグランド」などとも呼ばれていたようですが、平たく言えばアップライトです(^^)。そのピアノ、中の弦は錆だらけ、ハンマーが三個紛失、ブライドルテープがたくさん切れてる、正しく打弦しない、白鍵が多数剥がれそう、ピッチは半音低下、などなど、問題多数。酷だとは思いましたが、オーバーホールがベストな選択肢で、中途半端に修理と調律をしても楽しめる楽器にはできそうにない、と説明しました。もらいものなのでそこまでショックではなかったようですが、気の毒でした。ちょっとこれを他の人に託すのは賛成できないなあ、というもの。家族の所有で、おばあちゃんが買った大切な楽器とかでしたらぜひ持っていてください、と伝えるところですが、そうでなければ他を探した方が良い、という結論になりました。

もう一組のお客様は、日本製のアップライトピアノ。1969年製造。なんでも、一度沖縄で入手して、アメリカに持ち帰って、また沖縄に持って帰ってきたそうです。そして数年後に帰国するときはまた持っていくそうです。ここまで大切にしてもらえるとこちらも気持ちが弾みます。フレンジスクリューの多くが緩み、外れかけたセンターピンも多数、チューニングピンもちょっと緩めで、乾燥しすぎかな、という感想(シャレじゃないです)でしたが、まだまだ現役、娘さんがママになってもまた使ってください、とお話しました。喜んでいたようです。

ピアノは海を渡ります。石垣島にもあんなにたくさんのピアノが運ばれて、すごいことだと改めて驚きました。そしてアメリカへ、アメリカからとピアノは往来します。せっかく持ってきてあのように放出されるのは残念ですけど。一組目のお客様も、ピアノと良い出会いがあればと思います。

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