発表会については教室のブログに書き記しましたが、付け加えてピアノ調律師として感動したことをひとつ。
コンサートピアノって、「良いピアノだ」という既成概念があるように思っていて、良くて当たり前という認識ありきの音楽だったんだけど、今回はもっと本質的に肌で感じることができました。
以前、1939年録音のルービンシュタインの演奏をCDで聴いて感動したときに、例え古い音でもプチプチ雑音が入る音でもその音楽に感動することには違いないことを知り、音楽の良さは音質に比例しないと思うようになりました。オーディオだけではなく楽器もまた然り、良い音楽はピアノを選ばず、アップライトだろうがグランドだろうがアコースティックであれば美しく聞かせてくれると思っていました。
しかし、やはりコンサートピアノで演奏するとテンションが上がりますね。今回は特にそう思いました。高音・次高音の伸びはある程度小さいピアノでも歌ってくれることは感じていましたが、低音は大きいピアノでないと出ない音がある。そしてその低音の長い弦と大きなボディによる安定感と中音域以上の高い音の相乗効果もあるし、幅広い表現力というのもその安定感なくしては得られないでしょう。演奏した曲はバッハのシンフォニアという、ある種地味な選曲でしたが、だからがゆえか強く感じたのかもしれません。このテンションを覚えておけば、アップライトピアノやコンパクトグランドピアノを弾くときにイメージを膨らませることができるという、新しい楽しみ方を見つけたような気がします。
ただ、うまく話がまとまらないんだけど、だったらアップライトやコンパクトグランドは劣るのかといえばそうではなくて、音楽は楽器を選ばないんだけど、ホールのコンサートグランドピアノだけは、みんなが憧れる夢のピアノなんだなと思いました。矛盾してるかな?
もうこれだけキャリアを積んで今更なんだって記事になってしまいましたが、良い体験ができたと思います。まだまだ、勉強の途中ではあるものの、またピアノが楽しくなりました。