沖縄に在住のアメリカ人の中に、たまに高級なピアノを持ってくる人がいます。過去に何度かスタインウェイのピアノを調律させていただいたこともありますし、今はなくなってしまったブランドでも当時はその名を轟かせていたであろうピアノにもたくさんお目にかかりました。
今回は初めてのメイソン&ハムリン社製のピアノです。2010年にピアノディズク社に研修に行ったときに触って感動した、現代のアメリカでもスタインウェイと並ぶほどの高級なピアノメーカーです。
そのメイソン&ハムリンのコンソールピアノ。白鍵は天然の象牙で黒鍵は黒檀という、コンソールには贅沢とも言えそうな素材たちです。もちろん音も、その辺のアップライトピアノにも負けないほどの伸びと響きでした。
これほどのピアノ、どうしたのかと思ったら、完全にご主人の趣味だそうで、本当にピアノが生活の一部でピアノなしでは生きていけなさそうなくらいの熱の入れようでした。家族から受け継いだものかと思ったら、自分で買ったとのことでしたし。作業も興味津々だったようで、やりがいを感じました。
ところで、このような高品質のピアノを調律するときに時折錯覚することがあります。それは、自分でピアノを調律しているというよりも、ピアノから良い音へと導いてくれるような感覚です。だから、こういうときは「調律させてもらいました」という気分で臨んです。外国製だけではなく、国産にも感じることもあります。